ここらあたりでしょうか?





それらしき建物は

見当たりませんね・・・










 ** カップマルタンの休暇小屋/カップマルタン **

モナコでF1コースを走ったあと、カップマルタンに向かいました。距離的にはすぐそばなのですが、なんせ生まれて初めての海外での運転ですから、けっこう苦労しました。慣れない右側通行のうえ、とにかく道がわからない。。。それでもなんとかカップマルタンの駅までたどり着きました。ところがこれが無人駅!だれもいません。ホームに入ってみると、ベンチで電車を待っている人がいたので、聞いてみますが、まったく言葉が通じません、これは困りました。グルッと回って駅の反対側にいくと、"Promenade Le Corbusier"の看板、よしよしこれだな。ところが、この道もすぐに行き止まり・・・と思ったら、下に降りていく狭い階段があります。ここまできてあきらめるわけにはいきません、階段を降りていくと、小さな入り江にでました。それが上の写真です。とてもきれいで静かな入り江です、パラパラですが、浜辺には寝そべって日焼けしてる人、泳いでいる人もいます。入り江の左手の岬がマルタン岬、この中に休暇小屋はあるはずです。






道があります

行ってみましょう































きょうは火曜日です。曜日に何の関係があるのかって?大いに関係してるんですよ。というのは、この休暇小屋の中はいつでも見られるわけではないんです。火曜日か金曜日の10時からの見学ツアーを、地元の観光協会に予約しなければ小屋の中を見ることはできません。朝9時頃にモナコでレンタカーを借り、10時半 頃に休暇小屋に着けば、ちょうどこの見学ツアーに混ざって小屋の中も見られるかも、と考えていました。ところが、小屋に着いたのは多分11時頃。ちょうどツアーの人たちは、休暇小屋のお隣に建つE1027の見学を終え、帰途につくところでした。案内の人に、コルビュジェの小屋はどこですかと尋ねると、この隣ですよ、もう内部は見られませんが、外から見るのは構いません、と教えてくれました。長い道のりでしたが、ついについにたどりつきました、うれしいです!ぼくは胸をときめかせながら、お隣の小屋に向かいます。



あったー!

感激!!











ほんとに

かわいいサイズです



















この窓から

モナコを

眺めていたのですね!



















ここは裏側です

この上に道があり

そのまたすぐ上に

線路が通っています






さすがですよ、コルさん。お見事としかいいようがないです。あなたはこの素晴らしい眺めを独り占めしていたのですね!この小屋を建てる頃、すでにあなたは世界的に有名な建築家だったはずです、目の前のモナコに豪邸を構えるのに十分な資力も持っていたはずです。お隣のE1027(コルビュジェの友人であるデザイナー、アイリーン・グレイ設計の別荘)にいつも遊びに来ていて、この場所が気に入ってしまったのですね。わかりますよ、ぼくもモナコよりここだなって思いますもの。このまたお隣でいいですから、少し土地をわけていただけませんかね。

残念ながら、遅刻してしまったので、小屋の中を見ることはできませんでした。でも、ぼくの目的は、この小屋がどんな風景の中にたたずんでいるのかを、自分の目で確かめることでした。だから、こんなにもきれいな景色と出会えただけで、十分すぎるほど満足です。きれいな海、沖合のヨット、向こうにはモナコの町並み、もうなにも言うことはありません、世の中にはこんな夢のような場所があるのですね。。。ぼくは、オリーブの木に囲まれながら、切り株に座って、この美しい眺めにしばし我を忘れてみとれていました。とってもしあわせなひとときでした。

そうそう、それと気になったお宅が2軒あります。1軒はマルタンビーチ(この入り江のことを、ぼくが勝手に名付けました) をすべて我がものにする "LA CASA DEL MARE"(入り口の門の写真がデザイン編にあります)、もう1軒は、入り江のモナコ側の小さな突端に建つ別荘(この下3枚目の写真)です。どなたが所有されているのでしょうか?お宅拝見させていただきたいです、よろしく。


































































この休暇小屋は、マルセイユのユニテとちょうど同じ年、1952年に建てられました。以来コルビュジェは、この隠れ家に来ては、海や岩場で泳いだりして楽しんでいました。もちろん愛する妻イヴォンヌも一緒に。彼女はカップマルタンの隣町マントン生まれ、パスティス好き、元モデルということですから、南仏の香り漂う素敵な女性だったのでしょうね。

1965年夏、いつものように、コルビュジェは大好きなマルタンビーチで泳いでいました。きっとその日、彼がこよなく愛していた海が、彼にささやいたのでしょう。「もう君は十分いい仕事をしたよ、そろそろ海に還っておいで!」って。彼も 素直にその言葉に従ったのではないでしょうか。 彼の葬儀は、ルーブル宮において国葬としてとりおこなわれました。

現在、彼はカップマルタンを見下ろす丘の上に、妻イヴォンヌとともに静かに眠っています。










































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