Sori Yanagi
(1915-,Japan)

Butterfly,1956

Moulded plywood with brass stretcher

The "Butterfly" stool can be seen as an elegant and harmonic synthesis of Eastern and Western cultures.
Highly favoured in America during the 1950s, it was easy to dismantle and transport.





またまた日本人デザイナーの登場です。戦前の日本には、およそデザイナーという職業は存在しませんでした。戦後急速に発達した日本のデザイン界をリードしたひとりがこの柳宗理です。いままであまり見向かれなかった民衆の道具を「民藝」と名付け、その運動を展開した柳宗悦を父にもつ彼は、東京美術学校を卒業後、ル・コルビュジェ(20世紀最高の建築家)のパートナーであるシャルロット・ペリアンが日本政府に招聘されたときに助手をつとめ、その後自分のデザイン工房を設立し、日本の工業デザインの基礎を築きました。彼の代表作「バタフライスツール」です。立体的に曲げられた2枚の合板を1本のステーでとめています。とてもシンプルなデザインのなかに、やわらかな美しさと力強さをあわせもった椅子です。

右のいすはその形が鳥居に似ているところから名前のついた「トリイスツール」。日本を代表する建築家のひとり清家清とコンビを組んで、数多くのホテルのインテリアを手がけた渡辺力の作品です。清家に贈ったこのスツールがこわれたことを聞いた渡辺は、脚のデザインを手直しし強度を増したそうです。日本のデザイナーにもすばらしい人がたくさんいます。

どうです、2つのスツールをよーくみると、戦国の武将が使った床几が思い浮かんできませんか。やはり我々の心の奥底にひそんでいるものが、自然とあらわれてくるのでしょうか。信長はきっとこんな美しい床几で、全軍の指揮をとりたかったのでは・・・一脚そちらにお送りしましょうか、信長殿?エーもう使ってらっしゃる、さすがにお目が高い。


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